【空間の詩学】の検索結果
フランツ・エランスのある人物は、娘の贈物に絹のスカーフをえらぼうか、それとも日本漆の小箱にしようかとまよう。かれは「娘の内気な性格にふさわしいとかんがえて」小箱をえらぶことにする。このように簡潔で単純な記述は、おそらぬ性急な読者は(のがしてしまうことであろう。しかしながらこの物語では、父と娘が同一の秘密をいだいているから、この記述こそ不思議な物語の中心なのである。(中略)実際この書は、小箱というしるしの下に、閉鎖的なたましいの心理に関する記録につけくわえられるべき書物なのだ。だから拒絶を総計し、冷淡な態度を列挙し、沈黙をかぞえあげても、閉鎖的なひとの心理はえがかれない、ということをひとはしるだろう。むしろ新しい箱をひらくときの積極的な悦びの瞬間にそのひとを観察しなければならない。たとえば父から秘密をいだく、つまり機密をもらさなくともよいという暗黙の許可をもらうこの若い娘のばあいである。フランツ・エランスの物語においては、ふたりの人物がたがいにそれといわず、また無言のままに、またそれとしらずに、たがいに「理解」しあう。二人の閉鎖的な人物は同一の象徴によって気持を通じあうのである。
『空間の詩学』
世紀末芸術 空間の詩学の序文で詩に一番近いのは絵って言ってたの思い出してほんまええかげんに続き読めや…なっとる よみますそのうち
